近年、救急医療の現場における「たらい回し」がメディアに取り上げられ話題となっています。緊急搬送を要するほど重篤な患者がいるにも関わらず、病院側は満床などを理由に受け入れを拒否する、これは許される事なのでしょうか。そもそもなぜ、こうした事が起きてしまうのでしょう。その原因として主に3点の事が考えられます。
1つ目は、救急搬送を要する患者が増加してるという事です。現代日本は、急速な高齢化により、4人に1人が65歳以上の高齢者という高齢化社会です。当然ながら、高齢であるほど医療を必要とする傾向があるため、今後も救急搬送に対する需要は増え続けると考えられます。しかし、それに対応する救急医療を担う医者や看護師の数は現状充分であると言えません。
2つ目の原因は、救急医療の人材不足です。緊急を要する患者さんを扱うという事にはとても重い責任が伴います。加えて、いつ搬送されてくるかも分からないため、24時間常に気を張っている必要があります。こうしたきつい職場であるため、なかなか人材が集まらないのです。
最後に3つ目の原因は、病院の医療体制です。病院は非営利団体とされ、利益を追求するものではありません。とはいえ、まったくの赤字では存続が危ぶまれる事になります。そこで、出来るだけ病床を埋めることで、入院費用を得ようと考える場所もでてきます。多くの病床が備わっているにも関わらず満床を理由に搬送を拒否する背景には、こうした病院側の事情も絡んでいるのです。